*エッセイ*


▽▲▽▲▽▲OBの気持ち▲▽▲▽▲▽

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up date 2000/07/11



趣旨

浅野研究室OBからメッセージが届きました。
言いたい放題の月刊エッセイ集。






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▼7月号:藤 繁和 の気持ち

『風土の意匠』出版記念
センセと僕の旅行日記。(4)



    今月は平成11年4月23日〜24日に行った
    越中大工[富山県礪波市]の取材のお話ですぞ。

    ****************
    平成11年4月23日。
    9時半の飛行機で富山空港へ。
    いやぁ、良く晴れてる。
    次の日には・・・・、あとの話にしておきましょう(笑)。
    レンタカーを借りて、
    一路北陸自動車道を砺波へ。
    砺波では下りず、勢いで世界遺産の五箇山合掌造りを見学に行く。

    五箇山は好きな感じじゃなかったな。
    一人旅で行った白川郷に比べて、
    つくられた感じがものすごくある。
    もう観光地化されてしまって、
    感動がなかった。
    五つの点在する集落を総称して五箇山というらしい。
    一つ一つは小さな村だ。
    少し観光の手を入れると、
    すぐに景観に影響が出てしまって、
    それを悪く感じたのかも知れない。
    五箇山に行く人は、必ず白川郷とセットで行くことを
    お薦めしますよ?

    砺波方面へ車を向ける。
    城端から井波にかけて、
    先生が越中大工の仕事という民家を見る。
    妻に現れるごっつい小屋組がその証拠なのだそうだ。

    旧町中を走る。
    彫り物を生業とする人たちの家がならぶ。
    展示館もあった。
    細かい作業なんだなぁ。
    とてもじゃないけど、
    小さな木版画ででもあそこまで手を入れる自信はない。
    建築の勉強をしたら、
    建築設計の道を進むだけじゃなくて、
    こういう道を選んでもいいハズ。
    選択肢を小さくみているのか、
    それともそれぞれの選択肢自体に出会う機会がないのか。
    生産の学生は、
    一般に就職先を選ぶ視点というのは結構貧困かもしれない。
    その点浅野研は、生産建築には珍しい(他でも珍しいかも)
    映画監督、舞台俳優、看護婦などなど
    いろいろな道に進んだ人々の発生源であるけど(笑)。

    砺波に入る。
    平地に点在する越中大工の仕事。
    チューリップづくりと稲作の農耕地。
    そこに迷路のような道。
    たどり着いた民家を撮影箇所の候補に入れるが、
    次の日の撮影にそこに来ることができるだろうか?
    センセと僕はその心配ばかりしてたような気がする。

    そして、この日の宿は氷見。
    先生からの場所の指定だった。

    常平さんと宿で合流。

    夕食前にセンセの学生時代の友人である笠島さんが訪ねてくる。
    4人で夕食の席に着く。

    職人の手ってやつですね。
    ごつい。
    笠島さんは氷見で建設業を営む。
    でも本当は曳屋の頭領というのが本業と言えそうだ。
    話し方は豪快。
    しかも笑顔が絶えない人である。
    曳屋の話は面白かった。
    氷見では曳屋さんの頭領を『算段師』と呼ぶそうだ。
    すべてを頭に入れ、
    工事手順を算段する人ということらしい。
    ただの工事監督と変わらないじゃんって思うかもしれないが、
    話の内容を聞けば納得する。
    曳屋さんの仕事と言えば、
    普通の経験なら隣の敷地に家屋を動かすというところだ。
    区画整理等でも活躍してる。

    しかし、
    笠島さんのやる仕事はスケールが違いすぎる。
    山の上にあるお寺を改修するのは、
    山では出来ない。
    そこでどうするかというと、
    笠島さん達の場合は、
    山からお寺を降ろす。
    そういう技術が蓄積されているのだそうだ。
    尋常じゃない。

    もっとすごいのは、
    町中を2キロも家屋を曳いたこともあるって言う。
    線路だろうが、
    田圃だろうが、
    とにかく水平移動と垂直移動。
    列車の通らない夜間にやるのだそうだ。

    今度機会があったら見せてもらおう。
    だって、他じゃ見られそうにない。

    笠島さんが帰った後は、
    窓辺でビールを片手に建築教育談義。
    ピアノでもバイエルとか教本があるけど建築にはない。
    必ず見なければいけない建築とかあるんじゃないの?
    と、常平さんが言う。
    「そういうの今度、企画しましょうよ」とセンセが言っている間に、
    そういえば、
    この間建設ジャーナルで20世紀の建築、
    良かったモノ悪かったモノって特集やってたな。
    うーむ・・・、乗り遅れたか??


    4月24日。
    ひえっ、雨だ。
    何でいつもいつも・・・。
    いや、これ以上は言わないでおこう(笑)。

    やっぱり砺波での撮影場所はなかなかたどり着かなかった。
    細かい地図もなかったし。

    雨の中、なんとか撮影を終える。
    常平さん、自信がなさそうだ。
    現像してみてわかることだけど、
    雨の日の撮影は全体的に暗い。
    「もう一回、撮影に来るようかなぁ」
    と、常平さんがつぶやく。

    ん?そう言って撮影に来たことなかったような・・・。
    って、まあ使える程度には光量が足りていたってことなのかな?
    不問にしておきましょう(爆)。

    高速道路に乗って空港へ。
    この頃になると雨が上がる。
    いつもどおり(笑)。

    *********************

    さて次回は最終回。
    民芸風[大分県湯布院町]取材のときの話。
    では。


                         平成12年 7月11日

                 平成8年度卒 藤 繁和(とう しげかず)





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