OBエッセイ 就職セミナー企画

インタビュー
『CIT 就職セミナー講師を務めて
        〜完全燃焼編〜』



【今月のお客さま】渡辺岳彦(平成5年卒)
【インタビュアー】藤 繁和
【会場】新宿センタービル内某カフェ
【期日】01年05月05日(土)


For asano lab community from old members


up date 2001/05/06



趣旨

浅野研究室OBからメッセージが届きました。
言いたい放題の月刊エッセイ集。
*何ヶ月ぶりになるんでしょ?






▽▲▽▲▽▲▽

▼5月号:渡辺 岳彦 の気持ち

●●セミナー不完全燃焼!
 先日の就職セミナーは、おつかれさまでした。久しぶりに訪れた大学はどうでしたか?
渡辺 実に5年ぶりに行きましたが、大久保の街の風景も予想していたほど変わってないという印象でした。商店街も昔懐かしい店が改装して残っていて、小さなことに感動と懐かしさを感じました。
 早速ですが、セミナーには対象者しか参加できなかったわけですけど、どんなことをお話したのか、ちょっと説明してもらえないですか?
渡辺 大学3年生を対象にした、「大学OBが語る就職セミナー」というテーマでお話させてもらいました。現在の就職戦線の状況から、設計職への就職の難しさ、設計という仕事の内容について、組織別にみる設計業務の説明、現在の仕事の状況等々の話を約30分くらいです。
 反応はどうでした?
渡辺 思ったより静かに話を聞いていました。普通、授業ってもっとざわざわしたイメージがありますね。でも不気味なくらいシーンとしてて……。最初は単に、教授じゃない珍しい人が教壇にあがって話をするから、興味半分で話を聞いているんだろうなと思っていたんですけど、どうもそうじゃないようでした。「就職」に対して皆すごく切実な気持ちで聞いているんだと、話をしているうちにヒシヒシと感じてきましたね。
 内容は主に、設計職に就職するのはかなり困難であるとか、社会に出るということは厳しい、ということを話していたんですけど、皆が聞きたかったのはどうもそういうことだけではなくて、自分が就職するためにはどうしたらいいか、どのように就職活動を行ったらいいか、というようなホントに現実的なことを聞きたかったようです。
 講演の後に質疑の時間があったんですけど、大げさに言えば、面接には何を持っていって、何を着ていったらいいか、のようなレベルで、セミナーでわざわざ聞かなくてもいいのではないか、と思うようなことでした。質疑内容が乏しくてガッカリしましたね。
 でも、対象は3年生だったから、今からすれば、そうした基本的な話も交えて話した方が良かったのかもしれない、と思います。そんな思いがあったので、藤くんと話す時間をつくらせてもらいました。
 そういうことだったんですか。じゃ、この場を使って、不完全燃焼分の話を聞かせてください。

●●設計職とアルバイト。
渡辺 3年生やM1には、これからの就職活動にどの程度活用できるかわかりませんが、もう少し伝えたいこともあったので、話をさせてもらいます。
 まずは面接に関する心構えからです。面接というのは短時間でその人の本性を見抜くわけですから、本屋に売っている就職本を買ってマニュアルどおりに臨んだからといって成功するものではないと考えます。面接官はプロですから、企業にとって、自分を採用してもらうことで、どんなメリットがあるかといったことをしっかりとアピールしないと、今の就職戦線を勝ち抜くことは無理だと思います。先日のセミナーの時も「本命の会社を受けるまでに何社くらい練習で会社を受けましたか?」という質問がありました。就職戦線がこんな厳しい時代に、就職活動に練習も本番もないと言いたいですね。会社の面接を練習で受けるという心構えであれば、最後の最後まで他の会社でも内定をもらうことは難しいと思います。面接に臨んだ企業はすべて内定を勝ち取るくらいの心構えと自信を持つことが大切です。
 就職難の時代であるという認識は、あまりないのかもしれません。
渡辺 それから、学生時代の時間の過ごし方、特にアルバイトに関してもお話ししました。建築の設計という分野で就職をしたいのであれば、ファミレスやコンビニでアルバイトしている場合ではないという内容です。自分の時間がたくさんあるうちに自分を磨かないのはもったいないことです。社会を少しでもかじることで、何がしたいのか、何を目指すのか、自分の道を早めに見つけてほしいと思います。将来ファミレスやコンビニの店長になろうと思っているのなら別ですが、建築とりわけ設計で就職したいと決めているのなら、学生のうちに少しでも実務に携わるような経験を積んだ方が良いのでは、と思うのです。建築雑誌を読むだけじゃなくて、実際に現場で見ること聞くことのリアリティを、アルバイトを通して感じることで、自分の道が見つけられるということは十分に考えられることです。
 「アルバイトをしたことで、その企業の採用に結びつくことはあるのですか?」という質問もありました。これには昔と比べると今では難しいと答えました。アルバイトをしていたことでそのまま採用されるケースは、大企業では少し難しい話です。ただ、少ない例ですけど、小規模な設計事務所だったら実際に今でもあるみたいです。
 では、アルバイトをすることが就職活動に対して無駄なのか、というと、建築に関連するアルバイトなら決してそうではないと思います。私の友人が実際に経験した話をします。
 AさんとBさんはT社の入社試験を受けに行った。Aさんは学生時代の成績がBさんに比べて優秀だった。面接で試験官がその会社に入社したい動機を尋ねたところ、Aさんは、「御社の社風と理念が自分に会っていると感じたので希望しました」と答え、あたりさわりのない面接を無難にこなした。一方Bさんは、大学3年間数社の建築現場で清掃関係のアルバイトをしていた経験から、建築現場での仕事をしたいと思ったという動機や、他の誰よりも建築現場をキレイに維持することができる自信があることを、誇りをもって面接官に伝えた。結果はいうまでもなく、Aさんは不採用でBさんはすぐに内定をもらうことができた。
 この手の話は、みなさん承知しているとは思います。建築のアルバイトをしていたことから、その企業に就職することは困難でも、就職活動に有利に働くことは実際にあるということです。単に成績が良い悪いで採用・不採用が決まる時代ではなくて、今は、大学で何をしてきたか、何を目標としているかをはっきりと言える人を企業は必要としている、ということはハッキリした傾向だと思います。
 実際に最近では企業はアルバイトを募集しているんですか?
渡辺 会社によって様々ですが、日建設計や大手ゼネコン設計事務所では採用していないのが現状のようです。ただ、設計事務所のアルバイトなら探せば見つかると思います。また建築といっても他業種に渡って幅広く関連企業があるので、多角的に関わるのも勉強になると思います。
 僕の知っている某設計会社(マンション専門)は、社員よりもアルバイトの方が多いというくらい常に募集があります。よければ藤くんもいかがですか(笑)。
 いえいえ。僕は結構です(笑)。今の仕事も忙しいですけど、結構楽しんでやってますから。
 僕から言えば、僕がやっているような仕事も建築に関連しているんだってことで、いろんな職種に目を向ける機会をつくるのも、今の大学の役割のような気がします。その辺、浅野研は看護婦や役者、はては映画監督候補まで排出しているんだから、自分を見つめ直すのにも良い研究室だと思います。まあ、僕が言うのもおこがましい話ですけど……。

●●設計職で就職するには。
 ところで設計職への就職希望者が多い中で、具体的に内定をもらうにはどういう方法があるんでしょうか?
渡辺 セミナーでは、1)年々採用人数が減ってきていること、2)あらゆる能力が求められていて難しいこと等、設計職に就職することの難しさを話しました。この話の裏側には、設計職への就職の窓口は狭くても、決して各企業の採用人数はゼロではない、という意図がありました。だから僕の話を聞いて、現実の厳しさに意気消沈してしまった人がいたり、逆にチャンスだと感じとってくれた人も少なからずいたと思います。ごまかしのきかない時代だからこそ、自分に自信があって実力を備えた人なら、きっとチャンスだと感じてくれたと信じています。それから、自分は絶対に設計職に就職してがんばるんだ、という気持ちをずっと持ち続けることが、何よりも大切なことです。自信を持ってこれを言うことができない人は難しいでしょうね。
 そんなことも考えていたので、セミナーでは「設計職に就職したい人は手を挙げてください」とこちらから質問をしました。しかし、3人くらいの人しか手を挙げなかったんです。うちの会社の場合は、大学のOBがリクルーターとして窓口になって、入社希望者と面接をしています。私もリクルーターをやり、その経験から言うと、あそこで自信をもって手を挙げられなかった人は、少なくともうちの会社で採用することはないと思います。
 就職活動といっても、どのように活動していいのかわからないという人もいると思うんですけど……。
渡辺 企業は限られた枠の中、良い人材をいち早く確保しようと年々早い時期から人材確保に動いているので、いつ面接があってもいいように準備(図面)をしておくことが大事です。面接の情報は大学で公開されるから、見逃さないようにしてください。
 私もそうでしたけど、就職用ということで、設計課題の図面を作り直す人が多いみたいですね。常に学校の課題は手を抜かず、いつ外に出しても恥ずかしくないというレベルまで徹底してやることが必要なことだと思います。
 確かに、就職時にがんばって図面を作り直すことも「努力」の証としてみてもらえることもあるかもしれませんが、本当の成長過程や大学生活での努力の成果を見せた方が、面接官も興味を持つと思います。実際に浅野研にも3年間ずっとやってきたエスキスのスケッチブックを見せて内定をもらった人がいましたね。
渡辺 希望の会社に入るためには、誰よりもいち早く準備をすることも大切です。のんびりしていると、あっという間に取り残されてしまいます。それから、自分に自信があって実力があると思い込んでいる人も、就職面接の前には先生や先輩や友達や後輩に図面説明のプレゼンテーションをして、意見交換を活発に行うといいと思います。こっそりと就職活動をしないで、横のつながり縦のつながりを生かして、情報交換・意見交換をすると色々な発見があって勉強になります。浅野研はOBも多いので、縦横のつながりを使わない手はないと思います。コンピュータがかなり普及してコミュニケーションもメールだけ、なんて希薄になりつつある人間関係ですが、同じ大学、同じ研究室というつながりを充分に生かした方が得ですね。
 最近の生産工学部の学生の図面を見たことはありますか?
渡辺 ごく希ですが、見る機会もあります。数年前は就職の窓口をしていたので、他大学の学生の図面も見る機会もありました。生産の学生が作っている図面のレベルは、他大学と比べてさほどそん色ないと思いますが、残念ながらプレゼンテーションや説明の仕方には格段の劣差を感じています。習志野という田舎にどっぷり漬かってしまっている学生がほとんどで、自己完結してしまっているケースが多いのかなと思います。ちょっと問題発言ですかね(笑)。
 でも本当に、他の大学の学生と建築に関して交流を持つことや、情報交換の能力が不足している気がしますね。それと今の時代、コンピュータを使って、自分一人で自宅で図面を作る、課題をやるという人が増えているせいもあるのかもしれませんが、先輩のノウハウが伝承されてない印象が強いです。他大学も含めて学生全体の設計レベルの低下が、当社のリクルーターの間では話題になっています。実際には優秀な人材はたくさんいると思うんですが、その能力を生かしきれていないということなんでしょうか。
 設計に使うツールや、教育の仕方、され方が時代と共に変わってきているので、僕らがそう感じるのは仕方がないことかもしれない……。これも問題発言ですかね(笑)。このまま話していると、まだまだ問題発言が出そうなので、これで終わりにさせてもらいます。
 では、最後に一言お願いします。
渡辺 すでに就職活動中の人も、これから活動する人も、希望の会社に入れるようにがんばってください。それから最後に、かなり基本的なことですが、面接では茶髪・ロン毛・ヒゲは御法度なのでご注意ください!なんだかんだ言っても第一印象は大切です!
 そしていつか社会というフィールドに立ち、何らかの形で同じ目標に向かって、みなさんと共に良い仕事が出来る機会に恵まれることを楽しみにしています。
 今日はどうもありがとうございました。
渡辺 こちらこそ。


▼OBエッセイ トップページへ





メールはこちら






asano lab //index //back page